DAY2:MU-LEFT STAGE

DAY2:MU-LEFT STAGE

DAY2:MU-LEFT STAGE

01_INKYMAP

今年の[MURO FESTIVAL 2019]が行われている千葉・幕張の特別会場。途中にあるZOZOマリンスタジアムでは甲子園の予選大会が行われているとのこと。こちらも高校野球に負けず劣らずの熱いライブを夢見て会場へと向かう。

2日目のオープニングアクトを飾った[INKYMAP]は、Kazuma(Vo&Gt)が「俺たちずっとこのステージに立ちたかった」と、[MURO FESTIVAL]への憧れを語り、メロディックなサウンドと真っ直ぐなメッセージがマッチしたナンバーの数々を放つ。「自分の好きなものに出し惜しみするんじゃねえぞ!」と、フルスロットルの演奏を繰り広げ、観客の心をしっかりとつかんでいた。今後めきめきと実力を高めていき、[MURO FESTIVAL]の常連バンドとなることだろう。

1日目に続き、主催者の室氏が登場してゆるゆるとトークを展開。リハーサル時は雨がザーザー降っていたそうだが、開場前には奇跡的に雨が止んだとのこと。2日連続で雨を回避し、より気分晴れ晴れと楽しめる環境になったことを観客も大喜び。「お目当てのバンドはもちろん、新しいバンドを発見してほしい」と、このフェスの本質というべき楽しみ方を提案していた。(TEXT:中沢 純)



 

03_Age Factory

奈良県出身の3ピースバンドが放つ轟音ライブはとにかく最高のひとこと。清水エイスケ(Vo&Gt)の、がなるように咆哮する歌声、西口直人(Ba&Cho)のうねりまくるベース、増子央人(Dr&Cho)の躍動感満点のドラミング。その全てがステージ上で混ざり合いながら爆ぜる。
ロックンロール、パンク、オルタナティブ、ガレージ、ファンクなど様々なジャンルを内包したサウンドで、静と動を行き来し、生み出されるカオティックな世界観で狂わせてくれるのだ。『WORLD IS MINE』『TONBO』ではモッシュ&ダイブが起こり、観客の狂熱ぶりも見られた。ラストまでひたすら轟音を浴びせかけ、生で体感するべきバンドであることを印象づけるライブであった。(TEXT:中沢 純)



 

05_tricot

[ジェニーハイ]のメンバーとしても活躍する中嶋イッキュウ (Vo&Gt)を筆頭に、見た目も最高な4ピースバンド[tricot]。キダ モティフォ(Gt&Cho)の尖ったギターの音色、ベースとドラムのリズムが複雑に絡み合うマスロックやポストロックを表現する。変拍子やノイズで繊細さと暴力性が混在するサウンドは、聴けば聴くほどに中毒性を帯び、そのカオティックな世界へと惹き込んでくれる。『おちゃんせんすぅす』では、女性陣がギターやベースを弾いた腕を、ゆっくりと上げるお揃いの振付を披露。たゆたうような静と暴走モードに突入する動で、艶めかしい世界観を創出していた。ラストはみんなでステージに転がり、ギターやベースをかき鳴らす狂気的なパフォーマンス。ただただ魅了された。(TEXT:中沢 純)



 

07_LEGO BIG MORL

『あなたがいればいいのに』の、しっとりとした歌からスタートした[LEGO BIG MORL]。「一緒に俺らと踊りませんか!?」というカナタタケヒロ(Vo&Gt)の掛け声から叩きつけたのは、ヤマモトシンタロウのレフティのベースがグイグイとノリを引っ張る『Wait?』。グルーヴィなダンスビートからのブレイクでは、タナカヒロキ(Gt)がギターを高く掲げ、アサカワヒロ(Ds)も椅子に立ち上がって観客を煽った。「今年もこのステージに立てて幸せです…」。ディレイのかかったギターフレーズに合わせて、客席中から何度もリフレインする「Show me rainbow after the rain…」の歌声。アルカラの稲村太佑(Vo&Gt)らも乱入し、『RAINBOW』のサウンドが、夏の空の下で響き渡る。まるで本当に虹がかかったかのような心地よさがそこに漂っていた。(TEXT:伏見 聡)



 

09_バックドロップシンデレラ

会場を掻き乱すようなリズムが響き、ステージ前に集結した観客が一斉に左右に腕をふる。[バックドロップシンデレラ]の『台湾フォーチューン』は、夏フェスにハマるロックとして最高すぎるな…と思っていたら、続く疾走スカビートは『フェスだして』。「誰もフェスに呼んでくれなかったときから呼んでくれたのは、[ムロフェス]だけだー!」。そんな歓喜の雄叫びを響かせ、『本気でウンザウンザを踊る』では、さらに加速するビート。アフロを勢いに揺らしつつ、軽快なアップ・ストロークでカッティングを決める豊島“ペリー来航”渉(Gt)。ステージを左右に駆け回っていたでんでけあゆみ(Vo)は、ここでひしめくモッシュの波に飲まれた。『サンタマリアに乗って』のキャッチーなメロディから『さらば青春のパンク』まで、とにかくひたすら跳ね回る熱量が凄まじかった。(TEXT:伏見 聡)



 

11_TOTALFAT

[ムロフェス]にはギターロックや歌モノにカテゴライズされるバンドの出演が多いため、ライブ前には「少しアウェイかな」とメンバーは謙遜していたが、登場するやいなや会場全体が圧倒的な歓迎ムードになり、とにかく熱気を高め続けた[TOTALFAT]は流石のひと言。Jose(Vo&Gt)が「はしゃぎ倒しに来たひとー?」と投げかければ、加速するサークルモッシュに続出するダイバー。キラーチューン『PARTY PARTY』で大きく揺らし、バンドとオーディエンスの共鳴っぷりも圧巻だった『晴天』と淀みない流れも見事。完全にライブハウスの空気を作り上げていく。"君はひとりじゃない"の大合唱となった『Place to Try』でステージを後にするように見えたが、まだ持ち時間に余裕があると気づき、急遽『DA NA NA』をドロップ。瞬時にフルスロットルへ切り替えるパフォーマンスも秀逸だった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

13_Hump Back

7/17にアルバム『人間なのさ』をリリースしたばかりの[Hump Back]。「めっちゃ時間あるみたいなんで、丸々1曲演ります」と、リハで『月まで』をきっちり披露。「今日は[ムロフェス]に聞きたいことがあって来た! 夢はもう見ないのかい? 明日が怖いのかい?」と、本番1曲目の『拝啓、少年よ』へと導いていく。独特の歌声はもちろん、立ち振る舞いから何からに貫禄すら漂わせる林 萌々子(Vo&Gt)の存在感には圧倒される。「いい風が吹いてきた…」。そうつぶやき『短編小説』になだれ込むと、心地よく乾いたギターサウンドがさらにオーディエンスを駆り立てた。『LILLY』では少しふわふわした歌を、『僕らは今日も車の中』では、どこかやるせない雰囲気を。「どこまで行っても、どんだけ大きいところに行っても、またライブハウスで会いましょう!」。結成から10年の間に積み上げた、彼女たちの自信とプライドを感じさせるステージだった。(TEXT:伏見 聡)



 

15_SIX LOUNGE

SEなど要らぬと、板付きのまま、たっぷりと間をとって豪快なロックンロールを鳴らしたのが[SIX LOUNGE]だった。とにかく客席を煽り、前のめりで喉元に刃を突きつけるような姿勢も実に気持ちいい。遠くで眺めている人さえも撃ち抜くマシンガンのような勢いで『LULU』。バンドの挑戦的な視線に応えようと、拳を突き上げ、叫び、踊り狂うオーディエンスも頼もしかった『トラッシュ』。そして、[ムロフェス]への気持ちを「言葉は下手くそなんで、態度とかライヴで表したい」とヤマグチユウモリ(Gt&Vo)が語り、燃え尽きそうになるほど響かせたメロディアスなナンバー『僕を撃て』はまさにハイライト。オーディエンスの密集度も常に高まり続け、どこもかしこもボルテージは上昇しっぱなし。評判通りの力を見せつけてくれた。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

17_ハルカミライ

思う存分、やり散らかしたバンドといえば[ハルカミライ]を挙げる人が多いのではないだろうか。今年12月には幕張メッセにてワンマンも予定されているほどの勢いであり、オーディエンスの狂乱も凄まじかったのだが、それを簡単に飛び越えるバンドのぶっこみ具合。『カントリーロード』では、関 大地(G&Cho)がステージとステージの間にある矢倉のてっぺんまで登り、ギターを掻き鳴らしたり、橋本 学(Vo)が客席へ飛び込んだが、それはまだまだ序の口。関は客席にとどまり、そこへ吸い込まれるようにダイバーが集まる中、かまうことなく『ファイト!!』を歌ったり、カウボーイよろしく、マイクを振り回すような暴れっぷり。だが、ステージに残る3人は一切それを気にすることなく、熱烈なプレイを繰り出していく。それぞれが極限までやりきる姿勢。熱く、激しく、そして優しく。ロマンティックに鳴らした『アストロビスタ』のとき、ステージがとても眩しかったのは、すっかり陽が落ち、煌々とライトが照らされたからではないんだろう。(TEXT:ヤコウリュウジ)