DAY1:MU-RIGHT STAGE

DAY1:MU-RIGHT STAGE

DAY1:MU-RIGHT STAGE

02_LACCO TOWER

昨年のトリを飾った[LACCO TOWER]が、今年はトップバッターとして登場。昨年も参戦した人たちには、ずっとフェスが続いているような気分にさせてくれるニクイ演出だ。『薄紅』からスタートし、言葉に込めた想いをしっかりと伝える松川ケイスケ(Vo)の歌声、惹き込まれるようなカリスマ性を感じさせる細川大介(Gt)のギターテクニック、塩崎啓示(Ba)と重田雅俊(Dr)がリズムを支え、変幻自在なロックサウンドを展開する。『傷年傷女』のセッションパートは圧巻のひとこと。一体感のあるパフォーマンスでグルーヴが生まれ、狂想の世界観を作り出す。真一ジェット(Key)の爽やかな鍵盤の音色が印象的な『藍染』、夢を忘れずに持ち続けることを肯定する新曲『若者』などで、観客の心を強く打った。「夢のような一日を楽しんで」と、大きな拍手に包まれて終了した。(TEXT:中沢 純)



 

04_AJISAI

一曲目から疾走感あふれるナンバー『Runner』をもってきて、美麗なギターロックを聴かせてくれた[AJISAI]。「去年は出られなかったので、今年出演できてうれしく思う」とのMCから、昨年の分まで素晴らしいステージングを観客に届けようとする姿勢がうかがえる。「縁起でもない」と自虐的に演奏を始めた『Rainman』は、ちょっと曇り気味の空の色とリンクして、より印象的に響く。ザクザクのギターサウンドでエモーショナルさが全編に迸る『EXIT』の演奏に思わず見入り、『片道急行』では美しいメロディとひたすら前を向き続けるポジティブなメッセージを発信してくれた。メンバーみんなの誠実さが伝わってくるような演奏でライブを締めた。(TEXT:中沢 純)



 

06_ハンブレッダーズ

“ネバーエンディング思春期”をコンセプトに、みなぎるエネルギーを放つバンドは、初っ端からポップでキャッチーなサウンドが観客を直撃。リスナーと同じ視点を持っているからこそ表現できる『弱者の為の騒音を』、ラップやチョッパーベースなどでミクスチャー風の『常識の範疇』など、バラエティに富んだ楽曲で観客を盛り上げる。[ムロフェス]初出演ということで、その喜びを表わしたかのようなパフォーマンス。ステージに向かって右がベース、左がギターというち位置も、いつもとは違う音の出方で、正面からサウンドを受けるとまた違った印象を楽しめるものだ。何かを続けることの大切さを伝える『銀河高速』で締め、継続は力なりを証明するライブであった。(TEXT:中沢 純)



 

08_WEAVER

とにかく楽しもうと声を上げ続け、ドリーミーなポップチューンで会場をさらに盛り上げたのは、3年連続の出場となった3ピースピアノバンド[WEAVER]。今年が結成10周年というアニバーサリーイヤー。積み上げてきたものがたくさんあるのだ。気負うことなく、清々しさを感じさせるMCは鳴らす音に対する自信の表れに違いない。序盤から『Shall we dance』でダンサブルに会場を揺らし、『サマーチューン』では盛大なハンズクラップを巻き起こす。言葉ひとつひとつが沁みる『Shine』から、締めくくりには一瞬で空気を変える『カーテンコール』。伸びやかな杉本雄治(Pf&Vo) の声も相まって、WEAVERならではの世界観へ連れ去ってくれた。10月には神戶国際会館こくさいホールにて10周年記念公演も控えているが、必ずやそこでしか観ることのできない、体感できない景色を描いてくれるのだろう。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

10_LAMP IN TERREN

熱き想いを存分に吐き出し、生々しいロックを叩きつけた[LAMP IN TERREN]。ライヴ序盤、「大切な仲間が作った、大切なフェスに初めて参戦できました。心を、体を、全力で鳴らしていこうぜ」と松本大(Vo&Gt)が語っていたが、その言葉に違わず、むき出しなサウンドをズシンと響かせる。叫び混じりな松本のヴォーカルとグルーヴィなリズムがたまらない『凡人タグ』や攻めに攻め立てた『オーバーフロー』も強烈だったが、特にインパクト大だったのが『地球儀』だろう。中途半端はつまらないとばかりに、ピンボーカルのスタイルとなった松本は[Halo at 四畳半]がセッティング中の隣のステージまで飛び込んで歌い上げるほど、振り切ったパフォーマンス。そのまま激情で突っ走るかと思いきや、ラストは荒々しくも透き通ったバラード『BABY STEP』をプレイする奥深さもに唸ってしまった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

12_MAGIC OF LiFE

会場全体が息を飲む注目の中、高津戸信幸(Vo&Gt)が雄大に『夜空のBGM』を歌い上げ、一気にオーディエンスの心を鷲掴みにしたのが[MAGIC OF LiFE]だったに違いない。確実に噛み合ったバンドアンサンブルがまっすぐに響き、続く『弱虫な炎』ではもっと熱を帯びるステージ。「他人の評価なんて関係ねえ! 一生懸命に生きてるヤツが最強だ!」と高津戸が大声を上げ、曲中にも「本能でこいよ! 衝動でこいよ! 全力でこい!」とアジテートしまくった『Go out』、強さと温かさを兼ね備え、グッと背中を押してくれる『応援歌』と続け、少し雨が強くなってきた会場であったが、誰も気にするようなことはない。真摯に音と言葉を紡ぐ彼らに、ただただ惹きつけられていく。そそるベースラインと幻想的な浮遊感を持つ『線香花火』で締めくくるまでの流れも際立っていた。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

14_KOTORI

限られた演奏時間の中で[KOTORI]は演奏を止めることなく7曲も濃縮。気持ちが高ぶるごとに速度と熱を上げる演奏。横山優也(Vo&Gt)の「高ぶりが止まらない!」の叫びを合図に飛びだした『高鳴る胸に鐘を鳴らせ』を筆頭に、[KOTORI]はエモーショナルな曲の数々を会場中の人たちの胸へ熱く突き刺してゆく。答えが見えなかろうが、絶望に打ちひしがれ喘ごうと、横山優也は『素晴らしい世界』や『EVERGREEN』などを介し、前を向く自分の気持ちを信じて突き進めばいつか必ず笑えると、力強く歌をぶつけてきた。「時代を変えてゆけ、俺たちの時代だ」と叫んだ『1995』など、生きた心の叫びを突きつける[KOTORI]へ向け、共鳴した無数の拳が上がり続けていた。(TEXT:長澤智典)



 

16_Rhythmic Toy World

ライブという場には、誰にも、何にも心縛られることのない自由が生きている。自分を素直に開放できるライブハウスという空間に愛おしさを覚え、その場に生きる証を覚えている奴らが、このフェスには集っていた。その喜びを謳歌するように、晴れた心模様で歌う『ライブハウス』から[Rhythmic Toy World]のライブは始まった。荒ぶる衝動をぶつけるばかりがエモーショナルではない。優しさや幸せで心を満たしてゆく歌や、胸に温かさを染み渡らせる表情、そこに自分たちの届けたい強い意思があれば、空間には笑顔が満ちてゆく。沸き上がる想いへ導かれるまま歌った『ユメイロ』。たくさんの光を掻き集めながら、眩しい想いを胸に「頑張れ!!」と歌いあげた『僕の声』など、真っ直ぐな気持ちをぶつける[Rhythmic Toy World]の楽曲の数々に、心が素直に揺さぶられた。(TEXT:長澤智典)



 

18_GOOD ON THE REEL

すっかり暗くなった会場へ太陽以上に眩しい光を振り注ぐように、[GOOD ON THE REEL]は『素晴らしき今日の始まり』からライブの幕を開けた。彼らは歌声や演奏へ“生きてくための言葉”を次々と注ぎ込んでゆく。心が闇へ落ちてゆくような日々にさえ、かならず自分を照らす朝は訪れると伝えていく。「それでも生きていくから、それでも愛するから」と歌う声へ触れるたび、放つ歌の光へ素直にすがりたくなる。いつだって[GOOD ON THE REEL]は、心の闇を噛み砕き、生きる夢を、小さな希望の欠片(歌)たちにして伝えてゆく。「私達はいつでもハッピーエンドを待ってるの」と歌声のやり取りが会場を揺らした『ハッピーエンド』など、共に笑える未来を求めて進もうよと誘いかけていた。心に光射す歌を通し、夢や未来へ繋がる道筋を示してくれた。

初日公演の最後に、主催者・室清登氏がステージに登壇。「8回目の第1日目、今日は37バンドが出ました。バンドはいつ止まってしまうのかわからない。ライブハウスも、イベントも、いつ終わってしまうかわからない。なので、行けるときは、みんな足を運んでもらえたら嬉しいです。それが、みんなの活動の支えになるので。今日、出てたバンドどれも格好良かったと思うけど、どうでしたか!?」。そう呼びかけ、最後に会場へ残った人たちと一本締めをして、初日の幕を閉じていった。(TEXT:長澤智典)