DAY1:MU-LEFT STAGE

DAY1:MU-LEFT STAGE

DAY1:MU-LEFT STAGE

01_POETASTER

今年で8回目を迎え、音楽ひいてはバンド好きな人たちにとって、夏の恒例行事となった[MURO FESTIVAL]が7月20日、21日の2日間に亘って開催された。今回は[MU-STAGE]、[RO-STAGE]の他に、初めての試みとしてアコースティックライブを見られる[ACO-STAGE]も設置。場所も幕張の特別会場に移動し、過去最大規模で行われた。

オープニングアクトの[POETASTER]は、「一番出たいフェスに出られました!」とステージに立てたことに感激しきり。前向きなメッセージのこもったギターロックを響かせる。演奏やパフォーマンスなどはまだまだ粗削りだが、バンドへの情熱は本物。感謝の気持ちを存分込めたステージングを展開してくれた。これからの成長にも期待したい。

そしてRIGHT STAGEに主宰者の室氏が登場。この日は台風が接近していたが、「雨降ってないですよ、すごくないですか?」と、運も味方につけて無事に開催できたことを喜ぶ。「8年前に始まったときは16バンド。それが70バンド以上出るイベントになった」と感慨深く語っていた。「[ムロフェス2019]いけますか~?」と呼びかけると、観客が「オーッ!」と応え、フェス本編が幕を開けた。(TEXT:中沢 純)



 

03_グッドモーニングアメリカ

今回の出演者の中で、特異な存在感とパフォーマンスを発揮した一つが[グッドモーニングアメリカ]。まずはBa&Choたなしんがステージから降りて、観客の中を駆け巡る。手作りのてるてる坊主が付いた傘をまわし、てるてる坊主を観客の間へたくさん投下。その願いが届いたかのごとく、雨がやんだ会場に屹立する姿は、まさに“天気の子”だった。MCでは「来年出られるとは限らない。これから出るバンドには負けない!」「全力で楽しまないともったいない!」と、潔いほどに闘争本能旺盛だ。曲調もバラエティ豊富で、コール&レスポンスできる曲が多く、観客との一体感を作り出すのに長けていた。バンドとしての懐の深さをまざまざと見せつけ、強烈なインパクトを残してくれた。(TEXT:中沢 純)



 

05_Brian the Sun

大阪から来た[Brian the Sun]は、スピーディで爽快感のある曲展開と、とっつきやすいポップさが存在しているロックサウンドで観客を盛り上げた。そして、どの楽曲でも際立っていたのが、ギターフレーズのかっこよさ。小川真司(Gt&Cho)のキレキレの演奏で、間奏もグッと惹き込まれる。『パトスとエートス』では、白山治輝(Ba&Cho)と向き合って演奏する場面が印象的だった。森良太(Vo&Gt)が気持ちを吐き出すように歌う『まじでうるせえ』は世の中へのアンチテーゼだ。MCで「一人、一人が作るライブ」と語っていた通り、その言葉を体現したような、バンドと観客が一体となるパフォーマンスに称賛を送りたい。(TEXT:中沢 純)



 

07_Ivy to Fraudulent Game

時折、強く吹く浜風をそのエネルギーみなぎる轟音で押し返すようにガツンとロックンロールを響かせたのが[Ivy to Fraudulent Game]だった。普段のライヴハウスとは違い、遮るモノが何もない野外というシチュエーションながら、集中とのめり込み方が素晴らしく、『青写真』から『blue blue blue』を一気にぶっ飛ばして投下。寺口宣明(Gt&Vo)の挑戦的な眼差し、「自分たちの人生をかけて、音楽を精一杯やっていく」という宣言も頼もしい。軽妙なノリでオーディエンスを引っ張った『Memento Mori』、当たり前のことの大切さを再認識し、改めて噛み締めながらステージに立っているという寺口の言葉から放たれた『trot』まで、実にいいテンション感で魅了していった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

09_SHE'S

リハーサルの際、少しばかりトラブルがあったようだったが、そんなことに引っ張られる素振りなど一切なく、会場全体を魅了したのが[SHE'S]だ。しっかりとした芯があり、感情のざらつきまで繊細に表現する井上竜馬(Vo)の声、おもいっきり踏み込みながらオーディエンスの心をアジテートする服部栞汰(Gt)のパフォーマンスも素晴らしく、序盤から『歓びの陽』や『Over You』といったノリのよい曲たちをドロップ。かなり注目度の高い中で始まったライヴだったが、その期待感を超えるスタートダッシュを決めていく。中盤には、まだどこでもやっていないという新曲『Masquerade』を初披露。それぞれの心の火を焚きつけるようなラテンの匂いもあり、思わず皆々が手を掲げ、体を揺らしていった。バンドの充実ぶりがどこまでも伝わってくる、貫禄のステージだった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

11_Halo at 四畳半

開口一番、渡井翔汰(Vo&Gt)が「全身全霊を見せてやろうぜ!」と叫び、客席の後ろの後ろまでいきなりムードが高まった[Halo at 四畳半]。1曲目の『シャロン』からかなりの盛り上がりを見せ、渡井も「最高だね!」と口にしたが、それぐらいじゃまだまだ満足できないと、『カイライ旅団と海辺の街』ではさらに踏み込んでいく。キレイに整った音を鳴らすバンドかと思いきや、感情をさらけ出す場面も多く、観る者を熱くさせる気概のあるロックバンドだ。何度も[ムロフェス]への想いを語り、「[ムロフェス]が室さんだけの夢で終わらず、オレたちの夢だけでも終わらず、みんなの夢であり続けるように。最大級のラブソングを」と渡井が叫び、鳴らした『モールス』はオーディエンスの歌声も凄まじく、美しい光景だった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

13_魔法少女になり隊

[魔法少女になり隊]の特色は、ヘヴィな音楽スタイルへチップチューンの要素をまぶし、ポップな歌でコーティングしているところ。この日のライブでも、火寺バジル(Vo)が胸をくすぐるキャッチーな歌を届ければ、その背景ではgari (VJ&Vo)がスクリームしながら観客たちを終始煽り続けていた。ラウドなダンスロック曲『ヒメサマスピリッツ』や『完全無敵のぶっとバスターX』で会場を祭りの場に染め上げれば、パンキッシュにアレンジしたアニソンカバーの『おジャ魔女カーニバル!!』では、童心に戻った観客たちが激しく踊りながら大はしゃぎ。楽曲が進むごと、アイテムを増やすようにフロアの熱気を高めていった[魔法少女になり隊]。触れた人たちを少年少女に戻してゆく魔法にかかったライブが、そこには生まれていた。(TEXT:長澤智典)



 

15_WOMCADOLE

ド頭から感情のアクセルを一気に吹かせた樋口侑希(Vo&Gt)は、高いテンションのままに『人間なんです』を歌いだした。フツフツと沸き上がる情熱を、彼は破裂寸前の気持ちで突きつけてゆく。火傷しそうな熱い衝動に興奮も止めどない。「光をくれ」など、ひと言ひと言を刺すように歌った『絶望を撃て』。「あんたとでっけぇ炎を起こしたいんだ。俺が着火してやるよ!」と煽りながら、獰猛な姿のまま、燃え盛る想いを四方八方に撒き散らした『ライター』。[WOMCADOLE]は、魂の叫びをアグレッシブでスリリングな演奏に乗せ、殴るようにぶつけてゆく。「綺麗な空がまた無くならないように」と観客たちと合唱した『綺麗な空はある日突然に』など、気持ちを包み隠さずに歌う[WOMCADOLE]の音楽に、大勢の人たちが共鳴の拳を掲げ続けていた。(TEXT:長澤智典)



 

17_ラックライフ

「くらえー!!」の叫びを合図に、熱を上げて疾走する『リフレイン』。[ラックライフ]は最初から感情のアクセルをベタ踏み状態のまま、沸き立つ気持ちを全力で放熱してゆく。「始めの一歩を踏み出せば新しい世界へ飛び込んでいける」と、カラッとした演奏に乗せ、前向きな想いをぶつけた『はじめの一歩』。「あなたの心に刺さって抜けない歌を届けにきました」の言葉を証明するように歌った『Naru』では、ふがいない自分を攻めながらも、胸に抱いた想いを信じて突き進む姿も演奏に投影。爽やかな風と温かな光を身体へ降り注ぐ。影を抱えながら、それを光で包んでゆく[ラックライフ]の歌は、一度心に刺さったら抜けなくなる。彼らは、笑顔へ導く歌で仲間たちの心の背中を押し続けてくれた(TEXT:長澤智典)