MURO FESTIVAL 2018

DAY1:RIGHT STAGE

DAY1:RIGHT STAGE

DAY1:RIGHT STAGE

02_Sacy Dog

マイペースながらも愛を感じさせる室氏のアナウンスを受け、RIGHT STAGEに登場したのはトップバッター[Sacy Dog]。ムロフェスに憧れを抱き、昨年はO.Aを、そして今年は堂々トップバッターとしての出演を果たした彼ら。喜びを炸裂させるような3人のプレイは、トリオならではの立体感を感じさせるアンサンブルで響き、石原慎也(Vo&Gt)の言葉が、どこか懐かしさのある叙情的なメロディに乗って空へと広がっていく。『いつか』では、灼熱の日射しの中でもメロウな情景描写が優しくオーディエンスを包み込み、エモーショナルな弾き語りから始まった『グッバイ』で3人はさらなる躍動を。プレイも一層伸びやかになり、オーディエンスは拳と合唱からなる壮観な景色で応えた。(TEXT:根本 豪)



 

04_LUNKHEAD

サウンドチェックで既に汗だくな印象の小高芳太朗(Vo&Gt)が気合いのひと吠え、突如RIGHT STAGEを揺るがしたのは[LUNKHEAD]だ。意表を突かれたオーディエンスだが、『シューゲイザー』のイントロとともにフロアへなだれ込み、一気に沸点へと達する。野外も炎天下も関係ない。結成から間も無く20年を迎える貫禄は、フェス会場を一瞬でライヴハウス的な濃密空間へと変える。MCもそこそこに進められるステージだが、気迫のこもった小高のテンションから放たれる鋭利な言葉と歌声、そして強靭さもしなやかさも兼ね備えたバンドサウンドは、能書き不要の説得力。ギターのハモがオリエンタルな情緒も感じさせる『うぇいうぇいうぇい』では、オーディエンスが振り回すタオルが咲き乱れ、短い時間ながら一切隙のない、百花繚乱のLUNKHEADワールドを見せつけた。(TEXT:根本 豪)



 

06_Brian the Sun

本番さながらのサウンドチェック、そこからさらにギアを数段上げ、熱気まみれを楽しむかのようなアツいステージを見せつけたのは[Brian the Sun]。爆発力のあるバンドサウンドの上で、しなやかに踊るような森良太(Vo&Gt)の歌が、ドラマチックな世界観を加速させていく。しかもそのドラマは起伏に富み、『パトスとエートス』でヒリヒリするような緊張感を漂わせたかと思えば、ミディアムナンバー『Good-bye My Old Self』ではシットリ温かく会場を包む。「俺は今日ここに“歌”を歌いに来ました。俺の本当の声を聞いてください」とラストで繰り出したのは、渾身の絶唱パートを伴う『ロックンロールポップギャング』。様々な思いをこの場で吐き出すかのような姿、そしてやり切った表情で舞台を去る森の横顔。言葉にしなくとも垣間見えた、彼らの美学に痺れるステージだった。(TEXT:根本 豪)



 

08_ハルカミライ

灼熱の中、それに負けじと熱きパンクロック魂を見せつけたのが東京は八王子から来た[ハルカミライ]。今回のムロフェスで、いちばんやり散らかしたのは彼らだったのかもしれない。橋本学(Vo)が隣のLEFT STAGE側から視線を送るオーディエンスすらもアジテートしたかと思えば、ライヴハウスの距離感がいいと叫び、ステージから降りて絶叫していく。だが、そんな状況はいつものことだと言わんばかりに何も変わらず躍動する関大地(Gt&Cho)、須藤俊(Ba&Cho)、小松謙太(Dr&Cho)の3人がいるという、予定調和には決してならないライヴの醍醐味を存分に味わわせてくれるのだ。もちろん、ただ暴れたいだけではなく、彼らにあるのはまっすぐに想いを届けたいということだけ。「行こうぜ、ロックンローラー」と橋本が呼びかけ、大合唱が巻き起こった『それいけステアーズ』は強烈に突き刺さったに違いない。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

10_Rhythmic Toy World

開口一番、主宰である室氏からの「ベテランらしいライヴを」というメッセージを受けて、ベテランがどういうモノかわからないと前置きしつつも「いちばんカッコいいライヴをして帰ります」と内田直孝(Vo&Gt)の力強い宣言からスタートしたのが[Rhythmic Toy World]。ムロフェスの原点を曲で表す意図があったのか、まずは『ライブハウス』で会場の一体感を高め、ポジティブで楽しさに溢れる空気で突き進む。強靭なロックナンバーである『波紋シンドローム』から『とおりゃんせ』と繋げば、内田が「今のところ、お前らが優勝です」と口にするほど興奮したオーディエンスの盛り上がりが凄まじかったが、それを生み出したのは彼らのすべてを巻き込む力があるからこそ。しっかりと期待以上にパフォーマンスを見せつけてくれた。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

12_LEGO BIG MORL

「普段のフェスとは違って、選んでくれた室さんに恥をかかせないライヴができたか。それが伝わって、1日中、立ちっぱなしでもよかったと思ってもらう2日間」とカナタタケヒロ(Vo&Gt)がこのライヴへかける心情を吐露し、初っ端から攻め攻めなスタイルで存在感をアピールしたのが[LEGO BIG MORL]だ。柔和なニュアンスに突き刺すリリックが印象的だった『命短し挑めよ己』から、ひとつひとつ大切に言葉を紡いだ『あなたがいればいいのに」とプレイし、いわゆるフェス向けではなく、新曲も織り交ぜながら今の自分たちの持ち味や強みをアピールする充実した内容。締めくくりとして奏でた『RAINBOW』ではカナタの歌い出しでオーディエンスから大歓声が上がり、皆々が笑顔で手を掲げ、そのサウンドに身を委ねていた。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

14_WEAVER

限られた時間でいかに個性を印象づけるかが勝負となるフェス。ギターレス・トリオの[WEAVER]が中盤を4曲のメドレーで構成したのは、初見のオーディエンスに対して特に効果的だったはずだ。『さよならと言わないで』で各々の演奏力の高さをまざまざと見せつけたかと思えば、『クローン』では、秀逸的にキャッチーなメロで飛び跳ねさせてしまう。「僕たちと皆さんの物語を、今日始めてもらえると嬉しいです」と紹介した『最後の夜と流星』は、疾走感溢れるポップチューンで、河邉徹(ds)による小説とバンドの楽曲がリンクする“流星コーリング”プロジェクトの第一弾。随所に滲む知性とチャレンジ精神が、さらなる大ブレイクを予感させるステージだった。(TEXT:伏見 聡)



 

16_GOOD ON THE REEL

冒頭、『シャボン玉』のメロウなサウンドでオーディエンスをグッと惹き込んだ[GOOD ON THE REEL]。着火は『サーチライト』イントロの乾いたギターサウンドだった。独特なクセが心地良い千野隆尋(Vo)の高音と疾走感溢れるリズムが折り重なる。ステージ前では一気に人の荒波が巻き起こった。その勢いが『灯火』に引き継がれると、狙いすましたかのように“360°橙色に染められて”というその歌詞が、ステージ脇から照らす夕陽の色とシンクロしているではないか。なんという絶妙の演出! ラストの『シャワー』では、透明感に満ちたサウンドで会場を包み込み、客席に見事な一体感を作り上げた彼ら。この日も“いい感じ”を作り上げる天才だった。(TEXT:伏見 聡)



 

18_LACCO TOWER

1日目の大トリを担った[LACCO TOWER]。この日がバンドとして16歳の誕生日を迎えたという彼らがオープニングの『林檎』を披露した瞬間(正確にはリハの『柘榴』から)、会場は彼らのワンマンかと思うぐらいの一体感を見せる。メタリックな重低音で疾走する『怪人一面相』への流れは、彼らで言うところの“黒い曲”の連投。胸を締め付けるような旋律が、完璧な塊となって突き進むバンドサウンドの上で響く。『雨後晴』のイントロで客席から巻き起こった大合唱、『薄紅』のメロディと、咽び泣くようなギターソロ。どれもが、夏の夜空に打ち上がる大きな花火のように色鮮やかでどこか儚げだった。 アンコールに迎えられたステージで松川ケイスケ(Vo)が語る。「今日出てるバンドみんな、そう。7年間、一緒に生きてきたフェスなんですよ!」
主宰者・室氏も巻き込んでの『ラッコ節』からの『一夜』を披露してこの夜を締めくくった。
最後、室氏が出演者とスタッフ、観客への感謝を述べるとともにこう語った。
「ムロフェスを立ち上げて7年。ここに出てるバンドは本当に、苦労しかしてないんで。僕は苦労してるバンドが好きです。苦労したバンドはいいライブができるって僕は信じてます!」(TEXT:伏見 聡)

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