雨が降る寒い3月1日、先日MURO FESTIVAL2015の第一弾発表にて告知された超強力な2バンド、アルカラから稲村太佑氏と、BYEE the ROUNDから松山晃太氏の対談が実現。ムロフェス主催・室清登氏を交えて、今年のムロフェスについて熱く語る!


──今年も無事晴海客船ターミナルでムロフェス2015が開催できることになりました!


室:今日は集まってくれてありがとうございます。さて、今年も無事晴海客船ターミナルでムロフェス2015が開催できることになりました!


一同:拍手


室:そこで、昔からお互いよく知っているけど実は面と向かってこういう感じでガッツリ話す機会がなかった2人に来てもらったわけです(笑)。僕が本当に尊敬する2バンドなんですけど、昨日2人は対バンしていましたね!?
※2月28日東京新代田feverにて。


稲村:あれバイザ出られるの(笑)?昨日もそのネタでかなりイジったけど(笑)。


一同:笑 
※昨年11月末、松山氏がTwitterで突然BYEE the ROUND解散を表明。翌日撤回した騒動の件。


松山:昨日も稲村さんがイジってくれたんですけど、お客さんは戸惑っていました(苦笑)。


室:(笑)。それぞれのバンドに対して、お互いどう思っているか聞きたいです。


松山:10年バンドをやってきて、色々なバンドと対バンしてきて、たくさんの先輩にも囲まれているんですけど、バンドマンにしかわからないことかもしれないですけど「バンドマンとはこうあるべき」っていうのが俺の中にあるとしたら、それを体現できているのはアルカラしかないと思います。ボーカルや作曲者として尊敬していたり、ライブがカッコいいバンドはたくさんいるんですけど、やりたいことをやってそれが成功しているバンドってわずかだと思うし、俺としてはアルカラが唯一無二だと思うし、かなり照れくさいけど本気で尊敬しています。ブレないですよね!





室:太佑君はバイザについてどう思う?


稲村:BYEE the ROUNDについてですか?晃太についてですか?


一同:笑


稲村:晃太に関して言えば、率直に辞めずに戻ってきてくれて良かったなと(笑)。BYEE the ROUNDは“狂犬”のように、自分たちの意思や、ロックをやろうとすることに対してすごく凶暴で素直だと思う。昨日のライブ後もメンバー同士ですぐ反省会したりお互いを笑い合ったりしていて、ロックバンドとして10年やってきて、1周2周回ってきた境地というのを感じるな。ストイックにやっていればこそ、この間のように途中で辞めたくなることもあるし。
これからのバイザは、今まではただ噛み付いてきた狂犬が、これからはその傷跡すら楽しめるようなバンドになるやないかな。昨日晃太とは話して、一連の騒動についてもストンと俺なりに消化できたから言えるけど、BYEE the ROUNDとしてはサナギから成虫になるような感じやから、これからの成長は楽しみやね。「痛みを伴う変化に対する一番新しい脱皮の仕方」やな。でも一回解散したってことは、10年やっているけどバリ後輩やな(笑)。





室:新しい脱皮(笑)。そんなBYEE the ROUNDはこれからのアルカラのツアーの対バンにも選ばれているね。このツアーはすごく太佑君らしいというか、本当に好きなバンドと対バンしたいと?


稲村:そやね。誰と対バンするかっていうのはバンドの表現の一つだと思っていて、昨日の対バンもその一つやね。ムロフェスの話に戻すけど、室君がやっているムロフェスと俺らがやっているネコフェスは、時期も近いし共通点や対比があって、お互いこの後5年10年と続いていく中で、1年目2年目だけ来た人が、少し開けて5年目に来て「あーこの空気!」って思えるようなものにしたいな。


松山:松本人志(ダウンタウン)が同じ事言っていましたよ。俺、松本人志好きでインタビューとか読むんですけど、年末の企画を今後も継続させるか否かって。今感心して話聞いていました(笑)。


一同:笑


室:ムロフェスって、“周りに影響されてはいけないんだな”と思います。Crestならではのカラーがあると思うし、世の中で推されていても“ムロフェスでは違うでしょ”っていうのがあってもいいと思っています。バランスは難しいですけど。





松山:今回呼んでいただいて、もちろんすごくうれしいんですけど、毎年誘っていただく度に「俺らで(ムロフェスの)力になれているのか」って思います。毎年毎年ムロフェスで最高な景色が見られて、とてもうれしいんですけど、同時にプレッシャーも感じています。室さんの意思や出したい色に、俺らは応えられているのかなと。去年なんて泣いちゃいましたからね、室さんの挨拶見て(笑)。俺はCrest好きだけど、例えば夏フェスしか行かない人や、ムロフェスは行くけどライブハウスには行ったことない人なんかには、是非一度Crestに行ってみて欲しいですね。そんなムロフェスに俺らも俺らなりに加担できたらと思います。


室:常々言っていることだね。最近色々なところからムロフェスに出たいって売り込みをしてもらうんだけど、ほとんど断っているんだよね。やっぱり「Crestとして」っていうのが根底にあるから。


稲村:うん、結局は俺らもムロフェスに出る限りは室君の思いを、ある程度俺らなりに理解しているつもりなんやけど、ただなんとなく人が集まるところにプロモーションとして出たいっていうのは、少し違うかも。もちろん人が集まる誰でも出られるようなショーケースのようなフェスっていうものとても大切で、それはそれでいいと思うねんけど、ムロフェスやネコフェスは少し違うかな。バンド同士の絆だったり空気感だったり、そこがあるフェスだからこそムロフェス出演バンドはみんなの意思が高くなるねん。「室君と仲良くなればムロフェス出られるんかな」「Crestに出演すればムロフェス出られるんかな」とただ漠然と思うか、もっと奥のほうでムロフェスの真意を理解できるか、そこが違いやと思うねん。結果としてムロフェスがあって、手段としては何をやるか、難しいねんけど。それと毎年俺らはトリさせてもらっているんやけど、今年は俺らがトリじゃなくてもいいと思ってんねん。俺らではないムロフェスの終わり方って…とか、それもおもろいかなと(笑)





松山:この間会ったバンドマンは、「ムロフェスが日本で一番カッコいいフェスだと思っているので、だからこそムロフェスでBYEE the ROUNDと対バンしたい!」と言ってくれましたよ。そうやって伝わっているんだなぁと、うれしかったですね。誰だったかなぁ?


室:わかった!それCHERRY NARD 169じゃない?


松山:あーそうだ!チェリナードだ!


室:彼らは太佑君がCrestでブッキングやっていた4年前くらいからコツコツ積み上げてきて、ムロフェスに出てほしいって思えるようなバンドに成長したから、こちらとしてもすごくうれしいですね!アルカラもBYEE the ROUNDも、同じようにやってきてCrestには無くてはならない存在になってくれたし。


稲村:そうやね、こだわってバンド続けてきたから。そう考えると、BYEE the ROUNDって、こだわりの職人ではあるけど商人ではないな(笑)。


室:頑固なラーメン屋みたいな?


松山:自分でも思います(笑)。たぶんチェーン展開とかカップラーメンにするのは無理ですね(笑)。だからこれ以上色々やろうとすると無理があるのかもしれません。オオイ(BYEE the ROUNDのBass)もこの間室さんに言ったかもしれないですけど、「(ムロフェス出演)俺らでいいんですか?」ってことですよ。


稲村:でもムロフェスはそんなこだわりのラーメン屋が集まるフェスやから、ええんちゃう?いつもは一軒を守っているけど、ムロフェスは屋台みたいな(笑)。


松山:え!だったら俺、永遠に出続けられるかも(笑)。


一同:笑


室:それがカッコいいと思うよ。そう考えるとアルカラみたいにこだわり抜いていて、さらにそれを広げていくのは、確かにとてもすごいと思う。逆にライブハウスから育っていくバンドは、そういうバンドであってほしいと思うな。


稲村:「らしく」やっていかへんかったら、残っていかれへんと思うねん。アルカラとバイザは「怒髪天」になるしかないねん(笑)。唯一無二な存在に成るというか。自分らがどこかに「嫌やな」と思うところがあると、うまくいかへんと思う。


室:そうだね。怒髪天もマキシマムザホルモンも、特にそういう音楽が好きじゃない人たちにも、ちゃんと伝えられるというのはすごいと思う。


松山:自分たちを貫きながら広げたというのは、確かに怒髪天もホルモンもすごいですよね!!





室:あ、ところで恐らく今年で晴海埠頭での開催はラストです。


稲村:俺、去年「今年がラストです」っていってもうた(笑)。


室:ラストかも、って(笑)。去年のムロフェスの頭から他の会場を探していたんですけど、とりあえず今年まで晴海でやれるってことになりました。今後はまた探さないと。雨も降らないで欲しい!


松山:あ、だいたい俺らですよね、雨降るの(笑)。俺らとircle(笑)。
※ムロフェス2013、2014とBYEE the ROUNDライブ中に雨が降り、続いてircleのライブ時にも雨が降って雷が鳴った為一時中断。途中開催中止の危機に陥った。


稲村:もう雨が降る前提でタイムテーブル組めばええんとちゃう?それとさっきの話じゃないけど、ラーメン屋やろうや(笑)!


一同:笑





INTERVIEWER:KOSUKE SHIMAKURA(O-EAST)