MURO FESTIVAL 2018

DAY2:LEFT STAGE

DAY2:LEFT STAGE

DAY2:LEFT STAGE

01_rem time rem time

雲一枚が直射日光を遮ってくれるだけでグッと過ごしやすくなったお台場。ちょっとした余裕があることで改めて実感する、圧倒的な開放感や心地よい潮風。そんなまったりした休日の始まりを鋭い搔き鳴らしで容赦なく断ち切り、[MURO FESTIVAL 2018]2日目の開始を高らかに告げたのは、この日のO.A[rem time rem time]だ。
パンク、ハードコア、エモなど、多ジャンルを内包した感性豊かなロックサウンドが、3本のギターを擁したステージから怒涛の奔流となって広大な会場に響き渡る。オープニングから見事な盛り上がりだ。「スゴイね!こんな時間から。みんな音楽チョー好きじゃん!イェーイ!」とは、ピュアな美声からエネルギッシュなシャウトまで、表情豊かな歌で魅せる女性ギター&ボーカルの初鹿利佳。飾り気はないが実直なバンドの姿勢、それらが音となって響き渡り、所狭しと暴れるパフォーマンスに表れる。観る者の胸を焦がす抜群のインパクトをもって、強烈なアクトを果たした。



[rem time rem time]の残したジリジリした余韻が会場にくすぶる中、「ありがとうございました! いやぁ〜[rem time rem time]良かったなぁ…もう涙腺がヤバイっすわ」と、いきなり後ろを向いて話し始める主宰者・室氏(笑)。「“ムロフェスって新しいバンドと出会えるのがすごい嬉しい”っていう声がメチャメチャあって」と、主宰としての本意が形になっている喜びを語る。そして本日も熱中症に対する細心のケアを伝えつつ、[GRAND FAMILY ORCHESTRA]を呼び込んで2日目本編の幕が上がった。(TEXT:根本 豪)

 

03_CIVILIAN

これまで直射日光を遮っていた雲が流れ、太陽がギラッと本領を発揮しはじめた正午、「青空の似合わないバンドが帰って来ました!」と、[CIVILIAN]が登場。暴力的だが妖艶で、スタイリッシュだが激情丸出し、そんな彼ら独自の世界観が投影されたサウンドが会場の色を塗り替えていく。鋭いエッジを切り立たせたコヤマヒデカズ(Vo&Gt)の言葉は、重厚なバンドサウンドを突き破って飛び込んでくる。そしてドラマチックに展開される情景描写は、もはや“青空”どうこう関係なしの[CIVILIAN]ワールドだ。途中、あまりの気温の高さに機材がオーバーヒートするも、バンドをサポートしたのはオーディエンスの温かい合唱。多くの声と、振られる無数の手に後押しされるように鳴り響く『ハロ/ハワユ』がより優しく、より感動的なラストを飾った。(TEXT:根本 豪)



 

05_FOMARE

シンプルなバンドサウンドにストレートな歌詞を疾走させ、芳醇な甘酸っぱい空気で会場を満たしたのは[FOMARE]、青空にフィットする清々しいパフォーマンスが魅力の3人組だ。ド直球な楽曲構成ながら、コーラスワークが曲に幅と奥行きをもたらし、会場の一体感を構築していく。そしてまた高め合うようにギアを上げていくメンバー。アマダシンスケ(Ba&Vo)の歌にはエッジが立ち、ひときわ歓声が上がった『Lani』、「まだまだ攻めっぞ!」と繰り出した『風』でテンションを加速させていく。カマタリョウガ(Gt&Cho)は真っ赤に顔を上気させ、汗を飛ばしながら一音一音に気合いを込めて掻き鳴らす。ラスト『HOME』までひたすらピークを上積みし続け、小細工なしの全開パフォーマンスに、オーディネンスは無数の拳が突き上げて応えた。(TEXT:根本 豪)



 

07_ReVision of Sense

「暴れたいヤツ、かかってこい!」といきなり挑発し、エレクトロでラウドなサウンドを独自のポップセンスで昇華した『ダメ、ゼッタイ、現実逃避』で会場をヒートアップさせた[ReVision of Sence]。勢いは留まることを知らず、『ヨノナカカネ』では肩車をされた河井教馬(Vo)はそのまま客席へ突っ込むどころか、マイクのシールドの限界まで駆け回り、序盤からカオティックな様相。オーディエンスもサークルピットを作り、感じるがままに踊り狂っていく。特筆すべきは、決して暴れるだけではなく、その状況に置いていかれる人がいないよう、細かくオーディエンスとコミュニケーションをとる河合の立ち振る舞い。誰かとはではなく、全員で興奮を高め続けるライヴだった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

09_BRADIO

35℃を超える灼熱でもビシッとスーツでキメて、グルーヴィなファンクロックを鳴らしてくれたのが[BRADIO]だ。『Flyers』でパーティーの幕を開け、その勢いのまま『スパイシーマドンナ』を繰り出すのだから、イントロからオーディエンスは揺れっぱなし。心地よくそのサウンドに吸い寄せられるのだが、そこで満足することなく、より自分たちの世界観へ引き込んでいくのが彼らの持ち味だろう。『Boom! Boom! ヘブン』では真行寺貴秋(Vo)の「パーティーの向こう側へ連れて行っちゃってもいいですかー?」との言葉から、ダンスのレクチャーをして曲へなだれ込んだのだが、魅入られたオーディエンスが踊る、踊る。一体感がありすぎて胸がときめく光景が広がっていた。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

11_ヒトリエ

変幻自在のサウンドで、独自の道を切り開く[ヒトリエ]。歌い方を使い分け、言葉を詰め込んだ『シャッタードール』や不思議な浮遊感でステージを見つめるすべての人を釘付けにした『アンノウン・マザーグース』等、ヒトリエならではの雰囲気を作り上げ、自らのストロング・ポイントを遺憾なく発揮。「お客様の中に踊り足りない人はいませんか~?」とシノダ(Gt&Cho)が誘い、イガラシが舞うようにリズムを紡ぐ姿にも目を奪われた『踊るマネキン、唄う阿呆』から、複雑にフレーズが絡み合う『リトルクライベイビー』へ。冒頭に「あなたの絶対と、僕らの絶対で話がしたいと思って、ここに来ました」とwowaka(Vo&Gt)が口にしたが、まさしくその通り、真正面から向き合ったライヴだったに違いない。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

13_Ivy to Fraudulent Game

研ぎ澄まされたような音色と激しく疾走するリズム。『青写真』のスピード感が、この日の[Ivy to Fraudulent Game]の名刺代わり。轟音の中に漂う独特の浮遊感が心地よすぎる。複雑なリズムが展開される『アイドル』では何が可笑しかったのか、寺口宣明(Vo&Gt)が笑いを堪えつつ歌っている。
演奏が進むにつれ、ステージ前の熱狂するファンのみならず、客席全体が揺れ出していくのがよくわかる。観客に手拍子を求めたラスト『革命』では、実に爽やかで温かみのある空気感を作り上げる。4曲でも振り幅の広さが印象に残るステージだった。(TEXT:伏見 聡)



 

15_cinema staff

ほとばしる感情をそのまま写し込んだような疾走ナンバー『白い砂漠のマーチ』で、[cinema staff]のステージが幕を開ける。ステージ上手に構え、柔らかなタッチの歌声を響かせる飯田瑞規(Vo&Gt)に対し、下手側でベースを振り回すようにして観客を煽る三島想平(Ba)、そして中央で激しいカッティングを刻む辻友貴(Gt)。独特のバランスで放つ静と動が混在した世界観は『HYPER CHANT』の爽快なビートでも映える。
「いつも通り、死ぬ気で演奏しますんで、よろしく」
変拍子や複雑な展開を用いたトリッキーなアンサンブルとポップなメロディが共存する彼ら独特のムード。フェスでも気負う素振りなくマイペースに自分たちのライヴを披露した彼らだった。(TEXT:伏見 聡)



 

17_ircle

『あふれだす』。まさにそのタイトル通り、溢れ出す感情を放出するかのように絶叫する河内健悟(Vo&Gt)。[ircle]というバンドの生み出す音楽に触れるとき、まず耳、そして胸を突き刺すのはやはり彼の、吐き捨てるようで温かく、無骨なほどに優しい歌だ。猛烈に人間臭い。が、『セブンティーン』や『なんにもない』の疾走するビートも、『瞬』のシリアスなアレンジも、すべての楽器が一体となってその“歌”を奏でているのだということが、この日のステージを体験することで実感できた。客席に降りて歌ったラスト『本当の事』まで、曲間さえもビッシリと埋め尽くすように河内はステージから語り続けた。
「愛してるよ。ムロフェスに幸あれ!」(TEXT:伏見 聡)



 
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