MURO FESTIVAL 2018

DAY1:LEFT STAGE

DAY1:LEFT STAGE

DAY1:LEFT STAGE

01_bivouac

東京湾岸道路のどデカイ空の下、都会の夏を肌に感じ、轟音にまみれる[MURO FESTIVAL]。今年も最強の野外ライヴハウスをここお台場に誕生させるべく、7月22日、23日の2日間に渡って、若きエモーションが蒼天を突き抜けた。

まず初日のO.Aとして口火を切ったのは、昨年O-Crestで行われた[MURO FESTIVAL 2017 “後夜祭” DAY2]で[BARICANG]という名でトリを飾ったバンド。つまり繋いだバトンを自ら受け取り、新たなバンド名[bivouac]として、今年2018年のO.A出演を果たした。「ここが世界の中心 そう思ってもいいかい? ムロフェス!」と叫ぶノホリサチオ(Vo&Gt)。真摯な眼差しは、勝ち獲った舞台からの景色を自身に焼き付けるようでもある。しなやかなビートに乗ってどストレートな言葉が突き進む、そんなバンドの清々しい熱は、入場中のオーディエンスの足を止め、バンドの爪痕を見事に音で響かせてみせた。



「ムロフェス今年もやってきましたよ〜」と、RIGHT STAGEには主宰者である室氏が登場。今年は会場に日除けテントが3倍に増設されるなど、より熱中症対策に力を入れ、「無理せずね、ぜひ休憩しながら観てください」と、オーディエンスを気遣うアナウンスに終始した。事実、塩分チャージのタブレットが大量に入った紙袋を片手に、1日中会場を歩き回って配布していた室氏。この人を慕い、ライヴペインティングを手がけた[フクザワ]を含め、全57アーティストが今年も集結したのだ。(TEXT:根本 豪)

 

03_ココロオークション

響き渡る蝉時雨のSEの中、「アスファルトの熱も風の匂いも、全部音楽に変えて届けたいと思います。ムロフェス、最高の夏にしましょう」というMCで始まった[ココロオークション]。日射しと照り返しで天地から身を焦がす熱波の中を柔らかな風が吹き抜けたような、そんな清涼感をもって響く粟子真行(Vo&Gt)の歌声が心地いい。肯定的に夏を描写する楽曲は、爽やかな疾走感のあるギターロック、クールでエロティックなディスコビートから、熱気にまみれるラテンのダンスビートへと展開していく。お台場野外特設会場は見事に炎天下のダンスフロアと化した。そしてラストの『フライサイト』では、振り絞るかのように言葉を前へ前へと推し進める熱量の高い粟子の歌が印象的だった。(TEXT:根本 豪)



 

05_サイダーガール

[LUNKHEAD]で帯びた熱はそのまま、サウンドチェック中のLEFT STAGEへと引き継がれる。太陽がジリジリ身を焦がすのもお構いなしに期待を高めるオーディエンスたち、そして大歓声で迎えられたのは[サイダーガール]だ。甘酸っぱい歌声が爽やかに疾駆する1曲目『エバーグリーン』で早くも会場はひとつに。時に優しく語りかけ時に強く心を鼓舞する、そんなYurin(Vo&Gt)の歌は弾けるようなリズミックな楽曲と渾然一体となり、ポップでカラフルな多幸感を蔓延させる。熱の高まった終盤、『約束』では全てを絞る出すように歌う姿が、『メランコリー』では汗を散らして煽る姿が感動を呼び込む。メディアではメンバーのビジュアル露出を行わない彼らだが、 ライヴの場ではビジュアルのさらに奥に宿した芯の強さまでをも見せつけてくれた。(TEXT:根本 豪)



 

07_a flood of circle

今年はアオキテツ(Gt)が正式加入し、満を持してセルフタイトルを冠した新作を発表。精力的に踏み込みまくっている[a flood of circle]が登場。まずは挨拶代わりにと『ミッドナイト・クローラー』で口火を切り、力強くタフなロックンロールを轟かせていく。佐々木亮介(Vo&Gt)は「時間は元には戻らねえぞ! 行くしかねえんだよ!」と叫び、アオキの挑発的な眼差しも頼もしく、どこまでも攻め立てるのだ。『One Way Blues』では佐々木がマイクを握りしめ、客席へ飛び込んで歌い上げる場面もあるほど、自由自在にムードを操り、ライヴ後半ではオーディエンスの歓声もどんどん大きくなり、熱気は加速しっぱなし。11月には田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)と共に制作したシングルも控えており、まだまだその快進撃は続くのだろう。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

09_tricot

巧みに織りなされたロックをしなやかに奏で、彼女たちらしいムードで会場を終始包み込んだのが[tricot]だった。炎天下で観戦を続けるオーディエンスを気遣いながら「また、(渋谷)O-Crestで会いましょう」と中嶋イッキュウ(Vo&Gt)がムロフェスの始まりの場所への愛を表明することはあったが、余計なMCは一切挟まず、とにかく曲で語るスタイル。独創性に富んだアプローチを誇るサウンドに翻弄されるのが実に心地よい。青空へ広がる中嶋のハイトーンも素晴らしく、『potage』のように聴き惚れる場面も多々あったが、『メロンソーダ』の終盤でスリリングに攻め立てるクライマックスはまさに圧巻。タガが外れたメンバーの踏み込み方も頼もしく、激しさの中に光るセンスが鮮やかで美しかった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

11_MAGIC OF LiFE

衝動感に満ちたロックでキレッキレのライヴを展開した[MAGIC OF LiFE]。時折、絶叫混じりになる高津戸信幸(Vo&Gt)の歌声のインパクトも凄まじく、遠くで眺めていたオーディエンスが近寄っていく様子も見受けられたほど。ポップに彩られた『Answer』からスケール感を誇る『GO OUT』と中盤戦も緩みなく続き、とにかく正直に、まっすぐに音と気持ちを放っていく。ラストを飾った『夜空のBGM』の直前、栃木から東京へ出てライヴをしていく中で、室氏と出会いうことによって人の温もりを感じたというエピソードから、高津戸が「あなたに出会う為、15年、歌ってきました」とオーディエンスへ語りかけたが、その言葉に嘘偽りはない。そう素直に感じられる立ち姿がそこにはあった。(TEXT:ヤコウリュウジ)



 

13_SHE’S

透明度抜群の井上竜馬(Vo)によるハイトーンが夏の空を突き抜けるように響く『Over You』、客席の手拍子を煽って盛り上げた『Un-science』。[SHE’S]の軽やかでポップなサウンドが風に乗ると、熱気に満ちていた会場の空気が洗われたようにすら感じる。「前回、前々回より良いライヴ演りますんで!」愛犬をテーマに書いたという『C.K.C.S』では、おしゃれなダンスビートに乗せて「ムロフェスは最高だー♪」と歌い、服部栞汰(Gt)の歌うようなソロが味わい深い『Curtain Call』では、夕陽が映える哀愁のムードで客席を緩やかに揺らす。異なるベクトルの4曲で、ミニマムに自分たちを表現しきろうとする意図が伝わるステージだった。(TEXT:伏見 聡)



 

15_Halo at 四畳半

「あんたとムロフェスを作りに来たよ!」
オープニング『アメイジア』曲中で渡井翔汰(Vo&Gt)が叫ぶと、ステージ前に押し寄せたファンが一同に両手を高く掲げて沸き上がる。
「楽しんでるのはひしひしと伝わってきます…けど聞きます。楽しんでますか!」
構築美の内側から猛烈な熱を発するような[Halo at 四畳半]のバンドサウンド。その隙間を突くように客席に向けて語りかける彼の言葉の、どこか心地良い押し付けがましさがクセになる。『リバース・デイ』にしても『シャロン』にしても、その印象的な歌詞が耳に残り、突き上げるリズムからギターのトーンまで、音のすべてがほとばしる情熱の塊のように感じた。猛暑のお台場が、さらに熱を帯びていく。(TEXT:伏見 聡)



 

17_グッドモーニングアメリカ

TR STAGEからのオーディエンスも集結したオープニング直前。たなしん(Ba&Cho)が会場中央のPA脇に登場。ステージ前に押し寄せた人並みを煽った時点で空気が違っていた。『空ばかり見ていた』が始まると、爆裂するような勢いで会場中が一気に沸騰! 恐るべし[グッドモーニングアメリカ]。『言葉にならない』のスピード感、『アブラカタブラ』の突撃グルーヴ、まさに畳み掛ける勢いで客席はレッドゾーンに突入した。「俺たちはムロフェスが大好きだー!」、その言葉を証明するように、ステージにも客席にも笑顔が溢れている。ポジティヴなパワーを塊にしたかのようなサウンド、貫禄すら感じる熱烈パフォーマンス。シーンにおける存在感のデカさに納得するしかない。(TEXT:伏見 聡)

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