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DAY2:TENT STAGE

DAY2:TENT STAGE

やり切った充実感とライブハウスへの期待感!
このフェスのパワーの源を実感する2日間
6年目を迎え2DAYS開催になったムロフェス。今回はそのTENT STAGE二日目の様子をお届けする。

初日の快晴とは打って変わり、今にも雨が降り出してきそうな空模様の中、O.A.の[KAKASHI]、RIGHT STAGEの[LUNKHEAD]に続いてTENT STAGEの始まりを告げた八王子出身4人組バンド[ハルカミライ]。開始前既にTENT STAGEの会場からオーディエンスが溢れてしまってる状態の中、その期待を一身に受け止めるかのように橋本(Vo)がいきなりフロアへダイブ。初めてのムロフェス出演で「ロックバンドの初めてはただの初めてじゃない」と豪語。テントの外側まで手が上がる盛り上がりを見せ最高のスタートを切った。



続いて登場したのは[folca]。「神戸ART HOUSE生まれO-Crest育ち」「O-Crestから始まった夢が形になった日」とMCで告げる程、このイベントの幹であるO-Crestへの想いが強い彼ら。山下(Vo)の艶のある声、複雑な楽曲や奏法が続く中、両サイドを固める為川(Gt)と藤田(Ba)の、演奏してると思えないほどアグレッシブなパフォーマンス。これぞまさにライブハウスバンドというべきヒーロー性でフロアを魅了し熱を上げていく。ラストには自身らが神戸時代から演奏している楽曲『vision』を披露。「いつの日も、始まりはここから」の歌詞が示すとおり、始まったその夢の先をしっかりと見据えているという意思を示したステージであった。



楽器の轟音、中野(Vo)の「やってらんねぇ!!」の叫びでライブをスタートさせたのは、関西の若手バンドの旗手としてその名を知られている[ジラフポット]。『HECTOR-G』『I don't know don't I、nocebo effect』といったライブ定番曲でたたみかけ、さらに「馬鹿になれるやつは手を上げろ」とフロアを煽ると、TENT STAGEの外側に溢れたオーディエンスからもコールアンドレスポンスが起こる盛り上がり。関西大型フェスやサーキットイベントで入場規制がかかるそのライブ力を遺憾なく発揮して見せた。



サウンドチェックの際の演奏からフロアで手が挙がり、すでにライブが始まっているかのような空気感になっていたのは4番手[WOMCADOLE]。チェックが終わり一度ステージを降りたメンバーを待ち構えるフロアの雰囲気は、まさに破裂前の風船のような空気。9月にリリース予定のシングルから『アオキハルへ』などを惜しみなく披露し、ラストの『唄う』ではまさにその場に居た全員での大合唱を巻き起こした。



SE代わりなのか、突然B’zの『ultra soul』をカヴァーし始め、今までの空気感を一掃。
自分たちのペースに巻き込んでライブを始めたのは大阪を拠点に活動する[PAN]。自身のバンド名にかけて菓子パンや食パンをステージからフロアに投げ込んだり、他ステージで演奏していた[忘れらんねぇよ]の柴田(Vo)をステージに呼び込み、ビールで乾杯とやりたい放題。さらにはフロアに飛び降りてオーディエンスと一緒に飛び跳ねるシーンも。しかしその実、しっかりとした演奏力と、パフォーマンスに負けず力強く届く川さん(Vo)の歌声。ライブ力とオーディエンスを巻き込むエンタメ性とが生み出す極上のライブエンタテイメント。味わった会場が笑顔で溢れた。



TENT STAGEも後半に差し掛かり6番手に登場したのは、大分発日本語ロックンロールバンド[SIX LOUNGE]。「室さんがかっこいいって言ってくれたからこのステージに自信満々に立ってます」と、今回のブッキングに関して絶対の信頼を寄せるメッセージ。ロックの激しさだけじゃなく『メリールー』や『僕を撃て』ではキャッチーなメロディラインに綺麗に言葉を乗せ、3ピースバンド独特のシンプルなサウンドを響かせた。



Voの絶叫のような叫び声と集まったオーディエンスの声が共鳴してライブが始まったのは[Large House Satisfaction]。ベースの骨太のリフで会場を揺らすミドルテンポの曲『BREACH』。歌声はハスキーで刺々しく、ロックバンドの王道ともいうべき世界観でライブを展開。「ムロフェス、晴天が似合わないバンド」との自虐的なMCではあったものの、醸し出すのは良い意味でダーティな雰囲気だ。屋外の会場にも関わらず、むせかえる熱気と汗の匂いで、まさにライブハウスにいるかのような感覚を味わわせてくれた。



続いて登場したのは、メンバー全員が真っ赤な衣装で統一された[ビレジマンズストア]。1曲目からダイバーがフロアを飛び回る。フロントメンバー4人が同じ振り付けでオーディエンスを煽ったり、ツインギターの岩原&加納が一度にフロアにダイブしギターソロをプレイしたりと、ハードなパフォーマンスが続く。そんな中でも「この場所を作ったのはムロフェス」「ここを選んだのはお前たちだ」と、このステージに立てる喜びと感謝をしっかりと伝え、その存在を示した。



いよいよラストスパートとなり登場したのは、この日TENT STAGE唯一の女性Voバンド[Amelie]。ここまで男気溢れるライブが続いた会場の空気が、一気にカラフルかつポップに変わる。mick(Vo)はギターにキーボードにと楽器を変えながらも、バンドサウンドの上から降ってくるようなエネルギッシュな声を響かせる。「今年こそと思い、ようやく辿り着いたステージ」と語り、その喜びを全身で体現するようにステージを駆け回る。「思い続けてることは叶う」と『ゼロじゃない』等をポップに、しかし力強く前を向いて歌い上げた。



初の二日間開催のムロフェスTENT STAGEも、いよいよトリのバンド[HERE]が現れる。まさに目の前に出現したモンスターのような勢い。「日本で最もハイテンションのロックバンド」を自称する彼らは『はっきよい』でライブスタート。3曲目『ギラギラBODY&SOUL』では「今思いついた」という振付にも関わらず、会場全体がまるでお決まりのような一体感を見せた。2年前のムロフェスでも屋内ステージでトリを務めた彼ら。抜群の演奏力と尾形(Vo)のハイテンションが相まってクライマックスを迎える。自身の次のイベントがO-Crestで開催されることが決定している彼ら。「次は必ずO-Crest、そしてライブハウスで会いましょう」と、トリとしてしっかりとイベントの幹を伝え、「室さんとO-Crestに特上の愛を捧げて歌います」と、ラストナンバーに『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』を披露。アンコールを含めて二日間のTENT STAGEの幕を閉じた。



TENT STAGEが終わり、イベントの最後を見逃すまいと次のステージに急ぐ人、このステージの余韻に浸りながら周りの仲間たちと談笑する人、それぞれの時間を過ごす。しかし皆一様に一日、もしくは二日間をやり切ったというような充実した顔をしていた。ライブハウスには何かが待っているかもしれないという期待に胸を膨らませずにはいられない、そんなバラエティに富んだバンド達が、一つの意志のもとに集まったこの二日間。バンドと、ライブハウスという場所や携わる人、そしてオーディエンス、この三つ巴で生まれたパワーこそがこのフェスを生み出したのだと実感させるには十分な二日間であった。

Text : マエガキ ユウダイ