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DAY2:RIGHT STAGE

DAY2:RIGHT STAGE

昨日よりも幾分過ごしやすい陽気の2日目。まずは室氏がRIGHT STAGEに姿を現し、「泣いても笑っても今日で終わらせます!」と挨拶。両日参加のオーディエンスも多いのだろう。「ヤバいっすね。バンドやろうかな?」と室氏がおどける場面もあるほど、その言葉ひとつひとつにきっちりと反応し、いいムードが広がっていた。

そして、RIGHT STAGEの口火を切るのは[LUNKHEAD]。こういった夏フェスでは嬉しいほんの少しの小雨が降る中、ゆったりとした佇まいで登場し、力強い轟音を鳴らす。小高芳太朗(Vo&Gt)の歌とシャウトは活力を与えてくれるパワーがあり、遠くで眺めていたオーディエンスもステージへ引き寄せられるほど。合田悟(Ba)の「基本的にオレたちは晴れバンドなんで、雲を吹き飛ばしましょう!」という声から大きなコール&レスポンスが起こった『うぇいうぇいうぇい』から『スモールワールド』へと繋ぎ、現場で戦い続けるバンドの強度をしっかりとアピールしていった。



軽妙でコクのあるロックンロールで魅了してくれたのが[go!go!vanillas]だ。小雨が強くなってきたものの「この雨に負けないぐらい汗かきましょうか?」と牧達弥(Vo&Gt)からの言葉もあったように、終始とてつもない盛り上がり。『エマ』ではここぞというポイントで手があがり、『マジック』でも一体感を作り上げていく。皆々が大興奮した『カウンターアクション』で「負けたくねえよな」と力を込めて歌う姿に頼もしさを感じた人も多かったはず。



『踊る大捜査線』の青島に扮して客席から登場した柴田隆浩(Vo&Gt)にまず度肝を抜かれたが、出オチで終わらず、グイグイとオーディエンスを引っ張っていった[忘れらんねえよ]。『犬にしてくれ』や『ばかばっか』で会場をかき回すだけかき回して、純真無垢なニュアンスが心を打つ『この高鳴りをなんと呼ぶ』から最後は『いいひとどまり』へ。トリッキーなオープニングから心が熱くなるライブへの流れがまさに絶妙。彼らの奥深さを痛感させられてしまった。



サウンドチェックが終わるや否や、佐々木亮介(Vo&Gt)が「飛ばしてくぜー!」と叫び、ソリッドで切れ味抜群のサウンドをぶちかました[a flood of circle]。佐々木が拳を突き上げれば、オーディエンスもすぐに呼応する、完全なる濃密なロックンロールショウ。時折、強い風も吹くのだが、それに負けることないエネルギーに満ち溢れ、胸の高鳴りが止まらなくなる。「オレたちとアンタたちの明日に捧げます」と宣言してからの『シーガル』は最高だった。



どこまでも広がりを持つハーモニーが美しかった男女ツインヴォーカルを擁する[シナリオアート]。リラックスした雰囲気の中にもしっかりとした芯があり、パワフルさを感じさせる場面もある。盛りだくさんでカラフルなサウンドで果敢に攻め、オーディエンスと共に叫び踊った『スペイシー』や『ジンギスカンフー』だけでなく、新曲『サヨナラムーンタウン』まで披露する盤石のセットリスト。



「パーティーする準備はできてますかー?」と横山直弘(Vo&Gt)がアピールする以前から、もはや準備万端のオーディエンスで埋め尽くされた会場。[感覚ピエロ]に対する期待感はやはり高かった。色気漂う立ち姿、美メロに美声。イントロのそそるギターに誘われて、盛大なハンドクラップと大歓声が湧き上がった『A-Han!!』、振り回されたタオルでステージが見えなくなるほどになった『A BANANA』、極めつけは匠なアンサンブルで鋭く切れ込んだ『拝啓、いつかの君へ』。持ち味を発揮しながら空間を手中に収めていった。



大胆に多様なサウンドを取り入れ、観るもの全てを踊り狂わせる[バックドロップシンデレラ]。初っ端の『フェスだして』をプレイ中、豊島"ペリー来航"渉(Gt&Vo)が「6年前、誰も見向きもしなかったバックドロップシンデレラを初めてフェスに呼んでくれたのが、このムロフェス!」と叫び、気持ちを爆発させる。その感情が伝わったのだろう。客席はヘドバンやモッシュはもちろんのこと、巨大なサークルも出現し、カオティックな様相。もはや修羅場ともいえるようなシーンは驚異的だった。



少しだけ薄暗くなってきた夕刻、「本当のことをぶちこみにきました」と河内健悟(Vo&Gt)が宣言し、スリリングなロックで疾走していったのが[ircle]だ。無骨なまでにストレートな想いを突きつけてくる。かと思えば、優しく柔和なアプローチで響かせた『カゲロウと夏』を披露し、いい抑揚を作り出していく。その後もテンション感を保ったまま、決意表明ゆえにアンセムだと語る『光の向こうへ』から声にならない声で絶叫した『セブンティーン』という流れは凄まじかった。



いよいよ2日間にわたったムロフェスも終わりのときを迎える。RIGHT STAGEを締めくくるのは「オレたちがO-CRESTのSUPER BEAVERです!」と力強く口にした[SUPER BEAVER]。客席の隅々までオーディエンスで埋め尽くされ、大歓声が止むことがない。主宰である室氏だけに留まらず、関わるスタッフや見つめるオーディエンスに何度も謝辞を述べ、持ってるモノすべてを燃料として注ぎ込んだ狂熱的なライブ。すっかり陽が落ち、暗闇の中で映えるライトを背に歌い上げた『東京流星群』、メンバーの躍動っぷりが音に溶け込んだようでもあった『ありがとう』等を披露し、本編ラストは1年目のムロフェスでトップバッターをやった際の最初の曲だという『歓びの明日に』。まさにひとつの到達点とも表現できるシーンが広がっていた。



アンコールでは渋谷龍太(Vo)の「これからの日々、一緒に頑張って生きていこうよ」という投げかけから『秘密』を奏でる。すべての人がその光に吸い寄せられ、最後は「あなたが締めくくってください」と渋谷が口にし、オーディエンスの大合唱で幕を閉じるという、皆で作り上げるムロフェスらしいエンディング。

そして、渋谷に呼び込まれた室氏が最後の挨拶としてマイクを握る。室氏が「ありがとう!」と感謝を伝えれば、客席からすぐさま「ありがとう!」と返ってくる。誰かの提示をそのまま受け入れるのではなく、互いに作用し合って完成するムロフェスならではのやり取りに違いない。溢れそうな想いを吐露しながら、「気持ちをこめて何年も作ってきました。絶対に止めたいと思わないです。ライブハウスだろうが野外だろうが、絶対に続けます!」と宣言した室氏。また来年、この美しき空間を共有したい。

Text : ヤコウリュウジ