MURO FESTIVAL 2017 MURO FESTIVAL 2017
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DAY1:RIGHT STAGE

DAY1:RIGHT STAGE

RIGHT STAGEに登場したのは主宰者である室氏。2DAYSの開催ではあるが、2日間まとめて、ではなく、それぞれ1日にフォーカスして楽しんで欲しいという心情を言葉にしてから、この日は猛暑ということもあり、「何かあったら助け"愛"の精神で!」と注意事項を伝え、ムロフェスの開催を宣言。そこから、「サイケデリックバンド[八十八ヶ所巡礼]が再びこのムロフェスにやってきました!」と呼び込み、RIGHT STAGEは幕を開けた。

室氏の挨拶にもあったように、今年は初の2日間開催であり、昨年の倍という規模感。そのトップバッターを飾ったのは、総勢57アーティストの中でも特に異彩を放つ[八十八ヶ所巡礼]。プログレッシブに脳と内臓をかき回すようなサウンドは朝イチからとんでもないド迫力。マーガレット廣井(Vo&Ba)は「心の拳をあげてくれ!」「目、覚めてますか、ムロフェス!」とオーディエンスの心を焚き付け、Katzuya Shimizu(Gt)とKenzoooooo(Dr)も高レベルな演奏を見せつけながら会場を席巻。エネルギーを振り絞りまくったパフォーマンスだった。



昨年はラウンジステージ(新木場スタジオコースト)での出演だったが、今年はメインステージに登場となったのが[yonige]。牛丸ありさ(Vo&Gt)が、猛暑の中でライブを楽しむオーディエンスに気遣いながらも「私は暑いの大好きなんで最高です!」と力強く語ったように、キレのいいリズムと繊細なニュアンスを描くしなやかな歌を響かせていく。後半には『アボカド』『さよならアイデンティティー』を投下。9月にはメジャーデビューを控え、期待感がこれでもかと高まっている中であったが、それに違わないライブを見せつけてくれた。



野性味と色気を兼ね備えたロックサウンドを放ったのが[CIVILIAN]。まずは挨拶代わりにと言わんばかりに『暁』で一気に攻め立て、続く『3331』のサビではコヤマヒデカズ(Vo&Gt)が絶叫混じりの歌を響かせるほど、熱烈な展開。3ピースながらも、それぞれの音の存在感が素晴らしく、しっかりとした厚みを醸し出す。ラストを飾った『生者ノ行進』の終盤、改めて主宰である室氏へ感謝の意を述べ、熱きライブを締めくくった。



灼熱の会場に爽快な流れをもたらしてくれたのが、今回初出場となったピアノロックバンド[WEAVER]。杉本雄治(Vo&Pf)が「ムロフェスに出るからには、何か違う風を吹かせたい」と語っていたが、まさしくその言葉通りのムードを作り、その軽やかなサウンドに後方のオーディエンスも体を揺らすほど。もちろん、そこだけに留まらず、『クローン』では各楽器がせめぎ合う緊張感もみなぎらせ、多様なアプローチを披露。ひと味違ったインパクトを残したに違いない。



独創的な世界観を気骨のあるサウンドで表現し、多くのロックファンを魅了し続ける[ヒトリエ]。そのスキルを遺憾なく発揮し、緩急自在な手法はやはり見事。圧倒するというよりも、惹き込んで一体と混じり合うスタンスであり、オーディエンスを巻き込みながら、緻密なアレンジと高性能な展開を携えるキラーチューンを投下していく。最後はwowata(Vo&Gt)が「皆さん、本気になって踊りませんか?」と投げかけ、『トーキーダンス』で会場を揺らしまくる。右に倣えではなく、自由奔放に踊りまくるオーディエンスの姿が実に痛快だった。



「オレらと一緒に歌ってくれませんか?」とカナタタケヒロ(Vo&Gt)が問いかけ、1曲目の『RAINBOW』で会場から盛大な大合唱を巻き起こしたのが、新作[心臓の居場所]のリリースツアー真っ最中の[LEGO BOG MORL]。柔和で心地よい歌声を響かせながら、オーディエンスと心を通わせ、グッとアクセルを踏み込んでいく。新作へこめた想いを語ってからプレイした『あなたがいればいいのに』は心に沁み渡る、純度の高いバラード。「盛り上げ上手ではないから」とカナタが謙遜する場面もあったが、しっかりとこのムロフェスに爪痕を残していった。



グッと密集度が高まり、「素晴らしき今日を始めよう!」という千野隆尋(Vo)の呼びかけで会場を大いに盛り上げたのが[GOOD ON THE REEL]。どこかしら無垢さを感じさせる眩いサウンドを自由に舞いながら奏でていく。「世界はもっと簡単だっていいんだよ!  いっぱい笑おう!」と千野が叫び、オーディエンスと一体となった『シャワー』はひとつのハイライト。全編を通して、胸の内をさらけ出し、共に感じ合う姿がとても印象的だった。



陽も少し暮れたところで、ムロフェスには欠かせない存在である[AJISAI]は今年2本目にして最後のライブ。見逃せないと決めていた人も多かっただろう。『アイ コトバ』でジワッと温かい空気で包み、続く『片道急行』ではスイッチを切り替え、ノリ良くプレイ。「誰かひとりにでも届くよう、歌って演奏していいければいいなと思います」と松本俊(Vo&Gt)は語っていたが、見渡せば一緒に口ずさみ、その音に身を委ねるオーディエンスばかり。その真摯な気持ちが隅々まで広がっていた。



1日目のトリを飾るのは[グッドモーニングアメリカ]。1日分の想いがひとつになる瞬間ということもあり、スタート前からいい雰囲気ができあがっている。そこをさらに高みへと持っていくのがライブバンド。『未来へのスパイラル』『言葉にならない』とキラーチューンを連投し、客席では歓喜のリフトも生まれるほどだ。MCにもあったが、金廣真悟(Vo&Gt)の声帯ポリープ手術があり、ライブ活動を休止していた彼ら。7月20日に大阪でライブを再開したが、東京ではここが復活の舞台。たなしん(Ba&Cho)の「3・2・1、ファイヤー!」もキレッキレで炸裂し、後半も一気に駆け抜けていった。



そして、まだまだ満ち足りないオーディエンスからアンコールがあり、そこで語られたのはムロフェスといつも一緒に名を連ねていたアルカラへの心情。金廣の「リスペクトをこめて」という言葉から放たれたのは、なんとアルカラの『半径30cmの中を知らない』というサプライズ。オーディエンスのみならず、室氏やバンドマンも一気に興奮させたところで、締めくくりは彼らの始まりの曲である『空ばかり見ていた』。誰もが諸手を挙げて喜びを爆発させる、最高のフィナーレになった。



Text : ヤコウリュウジ